広報担当者・PRパーソンが知っておきたいパブリック・リレーションズ(PR)とは?⑦
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1990年以降は大きな出来事してバブルの崩壊が挙げられます。
これと前後して、リクルート事件や証券不祥事、汚職事件など企業への批判が高まってきました。
このような動きに対応して、経団連や経済広報センターは、イベントやフォーラムの実施を通じて、企業広報の重要性や社会貢献、情報公開のルール等を発表しました。
さらに2000年代に入ると、環境やCSRなど企業の社会的な責任、食品偽装問題への対応や個人情報保護、内部告発問題などに対する企業の危機管理などに注目が強まるようになります。
さらにこの時代には、インターネットの急速な普及が社会に大きな影響与えることになります。
また、2011年に発生した東日本大震災では、原発事故に対する危機対応の欠如が露呈しました。
しかしここでネットの活用、特にソーシャルメディアが有効に機能し、ネット社会がさらに拡大するきっかけともなりました。
ここまで見てきたように、パブリック・リレーションズ(PR)は、国内には第二次世界大戦後米国から導入されたものです。
日本では戦後の復興から高度経済成長期を経ていく中で、企業や組織が社会とコミュニケーションをとり、さらに良好な関係を構築する必要性が生まれてきました。
国内でのパブリック・リレーションズ(PR)は、経済成長とともに企業や組織が現実的な必要性に迫られた取り組みであるとも言えるでしょう。
パブリック・リレーションズ(PR)の先進地域である欧米では、広報担当者は専門職と言う扱いです。
ところが日本では広報部門への配属がジョブローテーションの一環である場合が多く、3から4年程度で他部門に移動することが多いようです。
つまり多くの場合、未経験者が広報担当者の職についてるのが現状と言えるわけです。
このような日本の企業が持つ固有の人事制度が、トップに高度なアドバイスをできない原因となっているとの指摘があります。
国内では、今後PRの本格的な発展期迎えることが予想されていますが、PRの実務家の数は他の先進国等と比べても圧倒的に少ないのが現状です。
国内の実務家の数はおおむね3万名から3万5千名程度と推計されており、その内訳は概ね下記のようになります。
①企業の広報担当者
約15,000から18,0000人程度
②都道府県、市町村、官公庁、独立行政法人や大学、NPO関連
約12,000から14,000名程度
③ PR会社(約200社)
約3500名程度
(『パブリックリレーションズ』井之上喬の2014年前後の推計より)
ちなみに、パブリック・リレーションズ(PR)の実務家は世界で約300万人いるとされ、そのうち米国は32万人、英国は5万人を占めています。
PR会社の数は、米国で7000から10,000社程度、EUの40カ国に約3000社、中国には約10,000社あると言われています。
日本国内のPRの実務家やPR会社の数は海外と比べて圧倒的に少ないことがわかります。
カトリップなどによると、PRの専門職を形成する要素には大きく下記の3つがあるとしています。
①体系的な知識
②資格制度
③倫理綱領
①の体系的な知識については、広報の専門職を養成する教育が大学などで提供される欧米に比べ、日本ではほとんど整備されていないと言う現状があります。
特に、パブリック・リレーションズ先進国であるアメリカでは、パブリック・リレーションズが学問として体系されていて、米国パブリックリレーションズ協会(PRSA)のディレクトリに掲載されるPR講座を開設している大学は4400校を数えるそうです。
パブリック・リレーションズ(PR)を体系的に学んだ卒業生は、企業やNPOの広報部門、PRエージェンシー等において広報担当者として働くことが多いようです。
また、②の資格制度については、日本パブリックリレーションズ協会によるPRプランナー資格が2007年からスタートしました。
欧米では広報専門職の資格を所持していることが、自身のキャリアアップに結びついていることが明らかにされていて、広報担当者が資格取得を通じて専門職になると言う文化が定着しているようです。
③の倫理綱領は、欧米では実務スキル以外に活動自体が倫理的に望ましいものであるかを規定するための倫理綱領を多くの業界団体が設定しています。
http://pr-ca.jp/blog/pr226/
http://pr-ca.jp/blog/pr229/