広報担当者・PRパーソンが知っておきたいパブリック・リレーションズ(PR)とは?⑩
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ご存知のように日本では神道と仏教がその思想の中核をなしています。
さらに6世紀ごろに儒教が体系的に導入されました。
儒教の考え方には、上下関係の厳しさや寡黙を求める傾向があります。
これが例えば失敗をしたときに、言い訳をしない、などの行動につながり、明確な主張できないなどと言う結果になります。
日本人に「説明責任の不足」が指摘されることが多いのは、このような背景が指摘され、海外での誤解を生む結果ともなってるようです。
近年、日本国内でも儒教的な考え方が弱まりつつあるとは思われますが、国際的な標準レベルにはまだまだ遠いのかもしれません。
米国から始まったパブリック・リレーションズ(PR)は、キリスト教的な考え方がベースになっていると言われます。
現在、自由と民主主義を基盤とする自由主義社会の一員となっているわが国日本としては、このグローバル時代に通用するコミュニケーション活動をおこなうパブリック・リレーションズ(PR)の手法をしっかりと身につける必要があるでしょう。
日本政府の開戦通告の遅れが内部のミスであったことを国際社会に明示しなかったことで、戦後50年以上日本は卑怯でずるい国というイメージを米国に植えつけてしまったこと。
さらに、真珠湾の卑怯な攻撃の真実が国際社会にオープンに発せられていたら、広島・長崎への原爆投下や日本本土への無差別攻撃など起こらなかったのかもしれないという、井之上パブリック・リレーションズの井之上喬氏の指摘は傾聴に値すると思います。
このような過去の失敗を踏まえて、日本のパブリック・リレーションズ(PR)をグローバルレベルに高める事は急務ではないかと思います。
日本人はアレンジが得意です。
もともとあった神道に仏教や儒教もうまく取り入れてきました。
キリスト教的な発想をベースにしたパブリック・リレーションズ(PR)もうまく日本流にアレンジして国内に定着させましょう。
そして文化的なベースの異なるロー・コンテクスト的な国際社会でも通用するPRノウハウを磨いて、国際社会での日本のプレゼンスを高めましょう。
×「以心伝心」
→○『言わなきゃわからない』
×「言い訳しない」
→○『ちゃんと説明する』
その上で、文化や思想などを超えた世界中の人々が共有する基盤をベースにしたコミュニケーションを日本から発信していきたいと思います。
広報・PRパーソンにとって、ジャーナリストは最も身近な仕事上の存在とも言えるでしょう。
一般的にPRとジャーナリズムを混同していることも少なくないようです。
実際に国内でも、新聞記者やテレビマンからPRの仕事に転身する人もかなりいるのは事実です。
PRの専門家とジャーナリストの仕事の共通点としては
①情報の発信
②大量の情報収集、整理
③取材やインタビューの実施
④ジャーナリスティックな文章の作成
などが挙げられます。
一方違いとしては、まず情報の発信先が
・ジャーナリスト
→メディア(新聞、雑誌、ラジオ、テレビなど)の読者や視聴者
・PRの実務家
→メディアのほか、PRイベントやセミナー、ニュースレターやDM、パンフレット、インターネットなど多彩
また情報の内容や目的はそれぞれ
・ジャーナリスト
→ニュースなど客観的な事実を伝える
・PRの実務家
→企業(組織)の目的を達成するために戦略的に策定されたメッセージや情報を発信する
社会への影響力としては
・ジャーナリスト
→新聞は論調を展開して世論を形成する、雑誌は世の中の新しい動きを捉えてトレンドをつくる、など。
・PRの実務家
→企業(組織)の目標や目的実現のためにターゲットの意識や行動を変える。
PRにはその他、コミュニケーション戦略の策定やコンサルティング、危機管理などのリスク対応、IR、ロビイングなど幅広い機能があります。