広報担当者・PRパーソンが知っておきたいパブリック・リレーションズ(PR)とは?⑬
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ステークホルダーが顧客等の場合、マーケティング・パブリック・リレーションズ(マーケティングPR)といいます。
マーケティングPRは、顧客との関係づくりを通して最終的には自社商品やサービスの購入を促し、自社ブランドのファンをつくること目的とするものです。
マーケティングとパブリック・リレーションズは、学問分野としてはそれぞれ異なったもので、
○マーケティング→顧客を対象
○パブリック・リレーションズ
→ステークホルダー全体
となります。
従来のマーケティングの考え方では、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つのPを組み合わせて最適化をはかります。
マーケティングの側面から見るとPRはこの4Pの中のプロモーションの手法の中の1つになります。
広告や販売促進、人的な営業販売、ダイレクトマーケティングなどとともにPRやパブリシティーがラインナップされることになります。
これをパブリック・リレーションズ(PR)の側面から見ると、顧客(潜在顧客)は様々なパブリックの中の1つになります。
つまりパブリックとの良好な関係づくりを行うための1つの手段に、顧客との関係構築、つまりマーケティングが位置づけられているわけです。
パブリック・リレーションズの分野では、広報やPRがマーケティングより上位の概念として捉えられているわけです。
一般的に米国など海外では、パブリック・リレーションズはマーケティングより上位の概念として捉えられているようです。
しかし、国内では以前PRの歴史のところでお伝えしたように、戦後の高度経済成長の中で大量生産・大量消費の時代に、広告の補助手段としてのパブリシティーとPRが位置づけられてきたために、マーケティングの側面からとられてきた歴史があります。
最近この傾向に変化が見られているのは、ネット等の普及で情報過多に拍車がかかり、自社のことを一方的に宣伝する広告よりも、第三者からの情報発信であるPRの有効性がマーケティングの分野でも注目されているからです。
顧客(潜在顧客)に対するプロセスには、
集客
→見込み客フォロー
→セールス
→ファン化
などがあり、それぞれのステップで最適なメディアやツールなどを使っていきます。
これをAISASモデルに当てはめてみると、
たとえば、
A(attention/注目)、I(interest/興味、関心)には、メディアや出版、SNS
S(search/検索)は、ホームページやSNS
A(action/購入)は、ホームページ
S(share/シェア)は、SNS など。
これに必要に応じて、広告や販促や営業・販売などを加えていきます。
つまり、マーケティングの中でもパブリック・リレーションズ(PR)の重要性が高まっているわけです。
さらに、商品やサービスと販売までのマーケティング&セールスだけではなく、購入して顧客になった人へのコミュニケーションによってファンやアンバサダーに育成するプロセスも重要性が増しています。
マーケティングPRというと、マーケティングのプロセスにPRやパブリシティーを加えるというイメージになります。
しかし、現在の顧客との関係づくりは、
マーケティング→セールス→ファン化
という一連のプロセスを顧客とのコミュニケーションを通じておこなうものとなっています。
パブリック・リレーションズの他のリレーションズは
メディア・リレーションズ
エンプロイー・レーションズ
インベスター・リレーションズ
などターゲットやステークホルダーを対象にしているのに対して、マーケティングPRは少し違和感を感じるかもしれません。
顧客(潜在顧客)へのコミュニケーション活動は
カスタマー・リレーションズ
と定義するのが妥当ではないかと思います。
*カスタマーは一般的に顧客のことを指しここでは見込み客(プロスペクティブ・カスタマー)も含みます。