広報・宣伝担当者のための日経新聞のデジタルファースト体制と効果的なPR
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新聞のデジタルファースト時代の効果的なPR手法とは?
日本経済新聞は、2010年に電子版を創刊してから現在は有料会員が65万人。(月額4200円)
新聞社の中でも最もデジタル化が進んでいるとも言われています。
2017年からは、紙面に先行して電子版でニュースや解説記事を配信するデジタルファーストを本格化させました。
紙の場合は、朝・夕刊で掲載される記事が約300で更新は朝と夕方の2回。
これに対して電子版は約900本の記事が随時更新されます。
この記事は、電子編集本部で独自に電子版専用の記事を作り、スクープは夕方6時に電子版に先行して掲載されます。
最近話題になったものでは、日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告の拘置中の独占記事の例があります。
従来であれば朝刊の一面に掲載されるスクープですが、それを夕方5時に電子版で先行して配信されました。
さらに、記事配信の30分前に日経の公式ツイッターで予告が流れました。
この時、デジタル部門と編集局の記者が相談して予告を流すのを決めたのは、記事配信の1時間ほど前だったそうです。
この例などは、日経が重要なニュースを紙面に先駆けて配信するデジタルファーストにシフトしたことを示す象徴的な出来事といえます。
電子版の記事は紙の記事と同様、編集局で選別して掲載しています。
つまり記者の目でニュース価値の大小を判断しているわけです。
また、紙で掲載されなかったようなコラムや日経BPの雑誌記事を新聞向けにわかりやすく手を入れた記事等も提供されています。
新聞のデジタルファースト時代の効果的なPR手法とは?②
約1300人いる記者が、今はオンラインベースで取材をして、その中から選ばれた記事が紙の新聞に掲載されるという流れになっています。
ネットの情報は無料というイメージがいまだに根強くあるのか、広報担当者の中にも紙の新聞を重視する傾向が強いように思います。
しかし、実際紙の発行部数は年々減少しており、新聞各社もデジタルシフトが最大の課題でもあるわけです。
ちなみに、新聞自体の信頼性はすべてのメディアの中でも最も高いというデータがあり、玉石混交の情報が溢れるネットの世界では、今後むしろその重要性は増してくるのではないかと思われます。
つまり、日経を始めとするデジタル版の影響力が今後どんどん増してくるので、紙面に載ることにあまりこだわらないことも必要です。
デジタル版に掲載されるおもなメリットを上げると
①速報性がある
② SNSなどでシェアされやすい
③ネットの検索対策になる
④紙面に掲載される可能性もある
など。
米国では、ファンドが新聞社を買収したり、アマゾンがワシントン・ポストを買収してデジタル化を推進して復活させたりしています。
紙からデジタルへの転換期が終われば新聞業界はまた成長すると考えられているようです。
日本の新聞社でも、デジタルシフトにより記者の働き方もずいぶん変わってきているとのこと。
以前は締め切りが深夜にあると、それまでに特ダネを取ろうとギリギリまで頑張ったり、まさに「夜討ち朝駆け」が普通だったわけです。
ところが、デジタル先行の出稿体制では、いつでもタイムリーに記事を出せるので締め切りを意識する必要がない。
その結果、夜はずいぶん早く帰れるようになったそうです。
働き方改革の関連記事をたくさん掲載している新聞社自身で、まさに働き方改革が実現できるようになったというわけですね。