広報担当者・PRパーソンが知っておきたいパブリック・リレーションズ(PR)とは?⑪
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日本ではパブリック・リレーションズ(PR)は、広報やパブリシティと混同されていることが多いです。
広報やパブリシティはパブリック・リレーションズ戦略の中のプログラムの一部です。
日本国内でのPRは、高度経済成長期の大量生産・大量消費のためのパブリシティとして利用された側面が強く、現在もプロパガンダ的な性質が強く残っていると言われています。
プロパガンダは、情報の発信者が一方的に情報を発信して、自らを正当化する傾向が強いものです。
宣伝的な色合いが強く、パブリック・リレーションズ(PR)とは言い難い面があるものです。
国内の企業や政府、行政機関等では、情報の発信は強化しているものの1方向性の傾向が強く、またマイナス情報の開示については消極的な側面が目立つと言う指摘があります。
また、プレスエージェントリーと言うのは、ニュース性のあるストーリーやイベント等を開催してメディアなどに面白おかしく取り上げてもらうようにする、やはり一方的なニュース配信をおこなう活動のことをいいます。
誇張や虚偽の情報を宣伝するプロパガンダ的な性格を持つものです。
プレスエージェントリーは現在においても、スポーツや映画のプロモーション、製品のプロモーションなどに使われる手法です。
これに対してパブリシティは、情報発信者はニュースとして価値のある情報をメディアに取り上げてもらう活動のことをいいます。
組織の中における広報部門の位置づけが近年変化しています。
1つはコミュニケーション活動の全体をコーポレート・コミュニケーション部門として1カ所に統括する動きです。
企業や組織が一貫性のあるメッセージを発信するためには、広報部門が組織内の各部門にバラバラにあるのではなく、1つのまとまった部門に置かれる事は重要です。
この場合、各事業部門など他部門との社内調整がとても重要な業務になります。
その他、パブリック・リレーションズが関わる部門としては、ステークホルダーごとに、
IR (インベスター・リレーションズ)が財務部門に、
インターナル・リレーションズ活動が人事部門に置かれることもあります。
さらにマーケティングPRは、商品やサービスごとにコミュニケーション活動をおこなうため、広告等の宣伝活動含めて宣伝部門や事業部門ごとに実施さることが多いようです。
一般的に広報部門で対応しているパブリック・リレーションズ活動は、主にメディア対応、社内広報などが中心で、危機管理や広告宣伝活動、ブランド戦略の展開などをおこなっている企業もあります。
各組織ごとに広報部門の位置づけを見ることで、その組織の広報への取り組み姿勢が分かります。
さらに、上記のように組織のコミュニケーション活動全体を1カ所に統合しようとする動きとともに、広報の責任者が執行役員や取締役など、どのポジションに位置づけられているかによってもその組織のパブリック・リレーションズ(PR)への取り組み度合いがわかります。
企業はじめとする組織は社会の中にあります。
社会の中で組織が活動する場合、組織内外の個人や他の組織とのあいだで利害関係が生じてきます。
この利害関係にある組織や個人のことをステークホルダーといいます。
ステイクと言うのは、もともと土地の所有者が自分の土地を明確にするためにに打ち込む杭や柵の事だったそうです。
これが広く解釈されて、一般的な権利を保有する人(ホルダー)と言う意味で使用されるようになりました。
組織の規模が大きくなるほどステークホルダーの範囲は広がります。
企業等の組織は、目標や目的を達成するために様々なステークホルダーと関係づくりを行います。
例えば自社を広く知ってもらうためや投資をしてもらうなど。
ただし、様々なステークホルダーとは利害が一致するわけではなく、ときには対立することもあります。
ここで何もしないと関係づくりが行えず、対立がますます深まることもあります。
そこで企業などの組織はステークホルダーとリレーションズ(関係性)を構築していく必要があります。
ここでのポイントは双方向のコミュニケーションです。
一方的な情報発信では相手がこちら側の主張を受け入れてくれなかったり、正確に伝わらなかったりします。
ここにパブリック・リレーションズ(PR)の必要性が生じてくるわけです。