広報担当者・PRパーソンが知っておきたいパブリック・リレーションズ(PR)とは?⑭
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エンプロイー・リレーションズの目的は、組織内部、企業でいえば社員と良好な関係を作り相互に信頼関係を構築することです。
また、組織内部と良好な関係が築けると、社員のやる気(モチベーション)が上がり組織に一体感をもたらすことで生産性を高めることができ、利益の増大を目指すことができます。
さらにモチベーションが高まることで、新しい発想や斬新なアイデアが生まれる土壌を作ることができます。
日本の企業などでは、トップから社員等への情報は一方向に流れていくことが多い傾向がありますが、信頼関係を築くには双方向のコミュニケーションが重要になります。
組織内部でのコミュニケーション活動の基本は、各セクションにおける上司と部下の間の日常的なコミニケーション(マネジメント・コミュニケーション)になります。
広報担当者がおこなうエンプロイー・リレーションズは、このマネジメント・コミュニケーションを補完する形で、社員など組織全体に知らせる事柄を中心に扱います。
そこで、広報担当者はトップや人事・総務など他のセクションとの連携が必要になります。
内容としては、組織の目的達成に役立つもの、例えばトップマネージメント、事業の方向性、各セクションの活動内容や、顧客等からの情報など。
これらを様々なメディアやツールを使って組織内部に伝えていきます。
エンプロイー・リレーションズで活用するメディアやツールにはさまざまなものがあります。
社内報をはじめ、ニュースレターや小冊子等の印刷媒体、イントラネットやEメール、ソーシャルメディアなどITツールの活用などが挙げられます。
また、社内イベントの実施等で組織の一体感を高めることを目的に行われることもあります。
メディアの報道など社外からの情報も、社員などに情報伝達する手段となります。
この場合、情報を発信するタイミングや報道の情報と内部への情報伝達のタイムラグをなくすことが重要です。
双方向のコミュニケーションを実現するためには社内情報の収集も重要で、イントラネットの掲示板やトップへの目安箱の設置、トップと社員とのランチによる意見交換などや、最近では内部告発制度を取り入れるところも増えているようです。
欧米の企業等では、組織内部の実情を把握するために社員による自由討論形式による意見集約などをおこなうフォーカスグループなどを実施して経営戦略などにフィードバックする例もあるようです。
企業に対する社員の信頼感を高めるコミュニケーションのポイントは、事実を正直にかつ率直に伝えることです。
ただしネット時代は、社内情報が様々な理由で社外に広がる可能性があるので、社内文書の作成等には充分に注意を払う必要があるでしょう。
エンプロイー・リレーションズを効果的おこなえば、社員等と円滑な関係を築くことができ、SNS等からの投稿による事件の防止や社会へのイメージアップにつながります。
つまり、社員が外部のステークホルダーに対してアンバサダーになることができるわけです。
IRは株主や投資家との関係づくりのためにおこなわれる活動で、企業の財務とコミュニケーションの機能を統合しておこなわれるものです。
上場企業の広報担当者や上場企業をクライアントにもつPRコンサルタントにとっては必要なスキルになります。
IRの情報開示制度の種類は、制度的開示(法定開示・適時開示)と自発的な任意開示があります。
制度的開示はおもに、財務データなど過去の財務情報の報告が中心になります。
しかし投資家の関心事は企業の将来性や成長性にあります。
たとえば、トップの能力や従業員の働き方、組織の生産性や研究開発の動向など。
このような自発的な情報開示をおこなった企業の方が、投資家などの的確な将来予測につながり、企業にとっては資本を調達、維持するためのコストが下がることが指摘されています。
つまり、制度的開示以外の企業が自発的に行う情報提供がIRに求められているわけです。