広報担当者・PRパーソンが知っておきたいSNS時代の次世代PR手法「ナラティブ」とは?
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ナラティブとは(1)
ナラティブとは、英語で「物語」を意味します。
日本語ではストーリーも物語と訳すので、混同してしまうかもしれません。
ストーリーもナラティブも「物語」ですが、主人公が異なります。
PRやマーケティングの観点からは、ストーリーは企業側が主役で、ナラティブは顧客などのステークホルダーが主役になります。
ナラティブでは、ユーザーが主人公になるので、例えばその商品を購入したあとに自分の生活がどうなるのか?
など、ユーザーが勝手にあなたの商品に思い入れを抱くようになるようになります。
ストーリーは、企業側からの画一的な物語なのに対して、ナラティブはユーザー一人ひとりが思い浮かべる物語になるので、より深い愛着が生まれやすくブランディングにも効果的と言われています。
マーケティング的な側面からナラティブを考えると、
①商品を使うユーザーの属性
(ペルソナ)
②商品を使う場面やタイミング
③商品使うことでのユーザーの変化
などをしっかり分析することが重要になります。
これを通して、ユーザーがあなたの商品を通してどのようなストーリーを歩むのかが見えてくるわけです。
ナラティブとは(2)
ナラティブという概念は、国内では2017年のForbes Japanに
「2017年はストーリー型マーケティング終焉の年に」
という記事が掲載されてから、にわかに注目を集めるようになりました。
まだまだ国内では浸透していないナラティブですが、ソーシャル時代がますます進むにつれて、より注目されてくる概念だと思います。
混同されがちなストーリーテリングは、企業の出来上がった物語であるのに対して、ナラティブはユーザー側が主役になって語る物語です。
まさに情報過多な現在では、必要とされる発想とも言えるでしょう。
このナラティブを活用した事例としてよく紹介されるのが、米国のアウトドア用品のパタゴニアです。
トランプ元大統領が国定記念物に指定保護地域の変更に対して、パタゴニアのウェブサイトで以下のような抗議文が掲載されました。
「大統領があなたの土地を盗んだ。大統領はベアーズ・イヤーズ地域とグランド・ステアケース・エスカランテ地域を縮小する決断を下した。米国史上、最大で保護地域縮小だ」
パタゴニアは、会社としての使命感を持ち、自社のコミュニティーにコンテクスト(文脈)を与え、社会のために行動することを促しています。
このパタゴニアの活動は、コミュニティーに属する人々に出来る事を中心にナラティブを生み出しているといえます。
ストーリーはいわば企業側が用意した台本であるのに対して、ナラティブは一人ひとりが自由に語ることで生まれていくものです。
そのために企業側が意図した通りにコントロールすることが難しくなるという側面もあります。
しかし、これからの生活者中心の時代には、ユーザーが自由に意見を述べて、社会を変えていく文脈を提供していくことでファンともにブランドを作っていく時代になっていくことでしょう。
企業がストーリーを土台に時代に合わせたコミュニケーションを模索すると自然にナラティブにつながるということになると思います。